Sakakimiya-style Data Model

榊宮式データモデル

データを意思決定価値に変換する流れ(Data-to-Decision)を、業務横断で俯瞰できるようにするためのレイヤ型データモデル

俯瞰できる
つながる
増えるほど、早くなる

Core Value

3つの利点(核となる価値)

利点1:俯瞰できる

データを「システム別・部門別」ではなく「役割」で整理します。

  • どの案件が、どの実績(事実)を根拠にしているか
  • 実績から、どの判断材料が生まれるか
  • その判断材料が、どの統合KPIで価値として証明されるか
利点2:つながる

案件を単発で終わらせず、案件同士が鎖のようにつながる構造を前提にします。

  • 統合ID/統合マスタ/統合ファクト(共通部品)が残る
  • 実績KPIが単一真実として確定し、検証の基盤になる
  • 学習(Synthesis)が資産化され、次の案件の成功確率を上げる
利点3:増えるほど、早くなる

共通部品と標準成果物を積み上げることで、案件が増えるほど運用が軽くなります。

  • 新規案件の立ち上げが速くなる(追加開発が局所化)
  • 施策が増えるほど効果比較が容易になり、投資判断が速くなる
  • 失敗と成功が学習資産になり、同じ失敗を繰り返しにくくなる

Architecture

5つのレイヤー(役割で理解する)

榊宮式は、データ利活用を次の5つの役割に分けます。

L1: Foundation(基盤)
収集・追跡・統合可能にする土台

拠点/システム混在、同名衝突、二重取り込みを前提に吸収し、データを統合可能な形に整備します。

L2: Actual(実績)
業務の事実を単一真実として確定

実績/KPIを締め・鮮度・定義合意を持って確定し、検証の基盤とします。

L3: Intelligence(知能化)
予測・推論・最適化で意思決定の材料を生成

予測・最適化・比較(What-if)で意思決定の材料を生成します。

pred_opt_sim_score_rec_
L4: Impact(効果統合)
施策の効果を統合KPIとしてまとめる

施策の効果を統合KPIとしてまとめ、比較・説明可能にします。

eff_roi_attr_inc_
L5: Synthesis(統合)
期待との差分を説明し、次の意思決定へ更新

Impactを材料に、期待との差分(乖離)を説明し、外部文脈も統合して次の意思決定へ更新します。

gap_ext_hypo_log_

Implementation Timeline

実装タイムライン(ガントチャート形式)

37のロードマップを5つのWaveに分けて、段階的な実装順序を示します。

ドメイン
Wave 0
(0-3月)
Wave 1
(3-6月)
Wave 2
(6-12月)
Wave 3
(12-18月)
Wave 4
(18-24月)
購買物流
R01(5)
R02(4)
R03(5)
R17(2)
R22(4)
製造/オペレーション
R01(4)
R06(1)
R21(5)
R22(2)
R23(5)
R29(1)
R30(1)
R36(1)
出荷物流
R07(4)
R08(3)
R09(5)
R10(4)
R11(3)
販売・マーケティング
R01(1)
R02(1)
R07(1)
R08(1)
R10(1)
R12(5)
R13(6)
R14(5)
R15(5)
R16(5)
R17(4)
R36(1)
サービス
R11(2)
R18(5)
R19(5)
R20(5)
財務
R06(3)
R24(5)
R25(5)
R26(4)
R27(3)
R35(5)
R36(4)
R37(2)
コンプライアンス
R06(1)
R27(1)
R28(6)
R29(4)
R30(3)
R37(3)
HR/組織
R31(5)
R32(5)
R33(4)
技術開発/R&D
R34(5)
調達管理
R04(5)
R05(5)
Wave 0: Foundation
Wave 1: Domain Primitives
Wave 2: Cross-functional
Wave 3: Simulation
Wave 4: Synthesis

実装の原則

各Waveは先行Waveの検証済み出力に基づいて構築され、冗長な開発を最小化します。 Foundation(Wave 0)から順次実装することで、共通コンポーネントの再利用と標準化が可能になり、 案件が増えるほど運用が軽くなる構造を実現します。

Execution Strategy

ロードマップの考え方

施策ストーリーではなく、ロードマップストーリー

2層構造

ロードマップ(Program):価値の実現ストーリー(例:Campaign Spend & ROI Optimization、Competitive Pricing Governance 等)
施策(Initiative / Schema):ロードマップを構成する具体的な成果物(例:pred_demand、opt_price、roi_campaign 等)

この2層構造にすることで、読者は「施策が何のためにあるか」「次に何を積むべきか」「共通部品がどれか」を迷わなくなります。

Foundation

Wave 0(共通依存)

ほぼ全ロードマップの前提になる"共通依存"

以降のロードマップは、原則として以下ができているほど立ち上げが速くなります。

Actual(締め・粒度・定義合意)を最低1つ"確定KPI"として持つ
施策ID(スキーマ)×対象期間×比較期間のキーが統一されている
Impactの器(測定手法区分、母集団、比較)が共通化されている
Synthesisが構造化(gap_ / ext_ / hypo_ / log_ を最低1つずつ)

Value Chain

標準ドメイン名(バリューチェーン分類)

権限分掌と機密性管理のため、5層レイヤを「ドメイン(Roadmap)」単位のカタログとして分割します。

購買物流
inboundlogistics

サプライヤー選定、入荷最適化、原材料在庫

製造/オペレーション
manufacturing

生産計画、歩留まり改善、設備稼働、品質管理

出荷物流
outboundlogistics

配送ルート、ラストワンマイル、倉庫配置

販売・マーケティング
salesmarketing

販促、価格、チャネル戦略、需要予測、LTV

サービス
service

カスタマーサポート、保守点検、CX向上

カタログ命名規則
foundation_{domain}基盤:取り込み、統合ID、DIM/FACTactual_{domain}実績:確定KPI、締め・鮮度intelligence_{domain}知能化:予測・最適化・比較impact_{domain}効果統合:施策効果の統合KPIsynthesis_{domain}統合:乖離・外部文脈・意思決定ログ

Naming Convention

スキーマ接頭辞テンプレート

ロードマップ内の成果物命名には、以下のスキーマ接頭辞を適用します。

L3: Intelligence(知能化)
予測・推論・最適化・比較で意思決定の材料を生成
接頭辞用途・意味具体例
pred_Prediction: 予測値pred_demand, pred_churn
opt_Optimization: 最適化案opt_inventory, opt_budget
sim_Simulation/What-if: シナリオ比較sim_price_change, sim_tax_risk
score_Scoring: 優先順位付けscore_loyalty, score_risk
rec_Recommendation: 推奨アクションrec_next_best_action

Roadmap Library

依存関係ベース・ロードマップライブラリ(全37)

ロードマップ=依存の鎖として、37のロードマップを定義します。

すべてattr_eff_ext_gap_hypo_inc_log_opt_pred_roi_
すべてimpactintelligencesynthesis
37 / 37 ロードマップを表示中

Implementation

実装シーケンスロジック

1Foundation first(基盤優先)

共通コンポーネント(R0-3)が再利用と標準化を可能にする

2Domain primitives next(ドメインプリミティブ)

各機能のコアインテリジェンス(R4-21)がビルディングブロックを作成

3Cross-functional integration(機能横断統合)

ポートフォリオ/リスクビュー(R22-25)がサイロ化された能力を接続

4Simulation layer(シミュレーション層)

Digital Twins(R26-35)が安全な実験を可能にする

5Autonomous synthesis(自律的統合)

統合された能力から企業ステアリング(R37)が創発する

このシーケンスにより、各レイヤは先行レイヤの検証済み出力に基づいて構築され、冗長な開発を最小化します。 アーキテクチャは意図的に能力開発(R01-36)と自律運用(R37)を分離し、 データ駆動型から自己最適化型企業への成熟度進化を反映しています。

Operations & Maintenance

カタログ・ワークスペースの運用保守設計

カタログ体系

権限分掌と機密性管理のため、5層レイヤを「ドメイン(Roadmap)」単位のカタログとして分割する命名を推奨します。

foundation_{domain}

基盤:取り込み、統合ID、DIM/FACT

actual_{domain}

実績:確定KPI、締め・鮮度

intelligence_{domain}

知能化:予測・最適化・比較

impact_{domain}

効果統合:施策効果の統合KPI

synthesis_{domain}

統合:乖離・外部文脈・意思決定ログ

ワークスペース設計

運用が安定するのは「責任を持つ組織」と「作業場所」が一致しているときです。

Data Platform(基盤)

Foundation:取り込み、名前空間、統合ID、統合DIM/FACT、品質基盤、監査

Initiative / Analytics(施策運用)

Actual・Impact・Synthesis:会議体で使う成果物の運用

Data Science / Optimization(知能化)

Intelligence:モデル、最適化、評価、再現性

Ops/Admin(監視)

監視カタログ、SLO/SLI、アラート、インシデント対応

結語

榊宮式データモデルは、データを"作る"ためではなく、意思決定を"強くする"ための設計です。

俯瞰できる。つながる。増えるほど、早くなる。

この3点を、ロードマップ(複数施策の束)として運用に落とし、ImpactとSynthesisで学習を資産化することで、 データ利活用は単発の成功から、継続的な意思決定能力の向上へ進化します。